大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和56年(ワ)5286号 判決

【主文】

一  被告株式会社明拓、同明拓アルコン株式会社は、別紙(一)記載の既設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置を製造し、販売してはならない。

二  右被告両名は前項の装置を廃棄せよ。

三  被告らは、原告に対し、各自金四九万二九五八円及びこれに対する昭和五六年八月四日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用はこれを五分し、その三を原告の、その余を被告らの負担とする。

六  この判決は原告勝訴部分に限り仮に執行することができる。

【事実】

「第二 当事者の主張

一  請求原因

1  原告は次の特許権(以下これを「本件特許権」といい、その発明を「本件発明」という)を有している。

発明の名称 即設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置

出願 昭和四七年四月一八日(特願昭四七―三九三七七)

公告 昭和五四年九月一一日(特公昭五四―二七六六〇)

公告後の補正日 昭和五五年七月二一日

登録昭和五六年七月二三日(第一〇五五一〇六号)

特許請求の範囲

「既設の旧窓枠を建造物の基台より除去することなく残存せしめ、旧窓枠に嵌め入れられるよう予め四角形状に枠組みして作成されたアルミニウム製新窓枠を旧窓枠に嵌め入れて、新窓枠を旧窓枠に対して取付ける装置であつて、新窓枠の背面外周に舌片を設け、この舌片には旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に対向する位置に弾性気密材を備えていると共に、該新窓枠の背面に鋼製補強金具の複数個を該枠の枠長手方向所定間隔に装置し、一方、旧窓枠には鋼製取付用金具を添着固着せしめ、この取付用金具と前記補強金具とをネジ締結する連結手段を設け、前記弾性気密材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で前記連結手段で新窓枠を取付用金具の方へ引張り、もつて既設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置。」

2  本件発明の構成要件及び作用効果は次のとおりである。

(一)  構成要件

(イ) 既設の旧窓枠を建造物の基台より除去することなく残存せしめ、旧窓枠に嵌め入れられるよう予め四角形状に枠組みして作成されたアルミニウム製新窓枠を旧窓枠に嵌め入れて、新窓枠を旧窓枠に対して取付ける装置であつて、

(ロ)(A) 新窓枠の背面外周に舌片を設け、この舌片には旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に対向する位置に弾性気密材を備えていると共に、

(B) 新窓枠の背面に鋼製補強金具の複数個を該枠の枠長手方向所定間隔に装置し、

(ハ) 旧窓枠には鋼製取付用金具を添着固着せしめ、

(ニ)(A) この取付用金具と前記補強金具をネジ締結する連結手段を設け、

(B) 前記弾性気密材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で前記連結手段で新窓枠を取付用金具の方へ引張り、

(ホ) もつて、既設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置。

(二)  作用効果

(イ) 旧窓枠を基準面として新窓枠を取付けると共に、舌片に気密材を付帯しているものであるから改装後の外観が美麗かつ精度よくなつて、気密材の弾性力によつてズレも補正できる。

(ロ) 建造物基台を基準面とせず旧窓枠を基準面とするものであるから、新窓枠の室内外における取付け精度も良好となる。

(ハ) 新窓枠の背面に鋼製補強金具を装置し、これと旧窓枠に添着の鋼製取付用金具をねじ締結するものであるから、双方の金具の協働でこれらが強度メンバーとなつて取付けが強固になるし、改装後の新窓枠の枠に風圧による曲げモーメントが作用しても、必要かつ充分に耐強性を確保できる他、補強金具はこれがピース材であるが故に、作業性も良好となる。

(ニ) 補強金具と取付用金具がいずれも鋼製であることから、ねじ締結力が必要かつ充分に確保できるし、両者を溶接するとすれば、右のズレの補正も差程期待できないばかりか工事中の電波障害、火災の原因となるのを、ねじ締結にしたので完璧に解消できる。

3  被告会社両名は、昭和五四年九月ころから別紙(一)記載の既設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置(以下「イ号物件」という)を業として製造し、販売している。

4  イ号物件の構成及び作用効果は次のとおりである。

(一)  構成(数字は別紙(一)イ号図面のそれによる)

(イ)′ 既設の旧窓枠101102103を建造物の基台から除去することなく残存せしめ、旧窓枠に嵌め入れられるよう予め四角形状に枠組みして作成されたアルミニウム製新窓枠105106107を旧窓枠に嵌め入れて、新窓枠を旧窓枠に対して取付ける装置であつて、

(ロ)′(A) 新窓枠の新上枠105(新竪枠107)の背面外周に舌片122122′を設けてあり、この舌片には旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に対向する位置に電蝕防止用ガスケット材124124′を備えている。

(B) 新上枠(新竪枠)の背面には、鋼製摺動金具123123′の複数個が枠長手方向所定間隔に装置されている。

(ハ)′ 旧窓枠の上枠101(旧竪枠103)には鋼製ピース金具125125′が取付けられている。

(ニ)′(A) このピース金具と摺動金具とは、連結金具127127′によつてネジで締結されており、

(B) この連結金具によつて前記舌片の電蝕防止用ガスケット材を室の内外方向への移動を可能とし、この連結金具に螺合している菊ナット163163′により新窓枠の室内方向への移動を調整可能としている。

(ホ)′ ことにより既設の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置(ただし、旧窓枠の枠見込み寸法が八八ミリメートルのものを除く)。

(二)  作用効果

イ号物件は右の構成をとることによつて前記2(二)記載の本件発明と同一の作用効果を奏する。

5  イ号物件の構成(イ)′ないし(ホ)′はそれぞれ本件発明の構成要件(イ)ないし(ホ)を充足し、本件発明と同一の作用効果を有するからその技術的範囲に属する。

6  被告会社両名は別紙(二)工事一覧表記載の工事(以下「本件工事」という)をなし・イ号物件を製造し販売した。

そして、被告松井は被告会社両名の代表取締役であるところ、イ号物件の製造販売が本件特許権を侵害することを知り又は過失により知らないで右製造販売をなしたものであるから、被告会社両名と不真正連帯の関係で原告の蒙つた損害を賠償すべき義務がある。

ところで、本件工事の契約金のうち侵害にあたる部分(弾性気密材が旧窓枠に接しているもの)の金額は一億九〇二四万一七〇〇円であるところ、被告会社両名は本件工事によつて本件発明と別件特許登録第一一三〇二六四号の特許発明とを同時に施工して両発明の製造販売をしており、その利用率は各五〇パーセントである。そして原告は本件及び別件の特許権について訴外三井軽金属加工株式会社との間に実施契約を締結し、その実施料は一パーセントであるので、本件特許権の実施料相当額も一パーセントが相当である。そうすると実施料合計額はの計算式により九五万一二〇八円となる。

よつて、原告は被告会社両名に対し、イ号物件の製造販売の差止及び廃棄を求め、被告らに対し、原告に対して各自損害金九五万一二〇八円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和五六年八月四日から支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。」

【理由】

一請求原因1の事実(本件特許権の存在)は当事者間に争いがなく、右争いのない特許請求の範囲の記載、<証拠>によれば、本件発明の構成要件は請求原因2(一)記載のとおり分説するのが相当であり、本件発明は同2(二)記載の作用効果を有することが是認される(構成要件分説の点は当事者間に争いがない。)。

二被告会社両名がイ号物件(ただし、その構成の説明及び図面は除く)を業として製造販売していることは当事者間に争いがない。

そして、<証拠>によれば、イ号物件の構成は別紙(一)記載の図面の詳細な説明どおり認めるのが相当である。被告ら主張の別紙(三)記載のイ号物件の構成の説明は取付方法を詳細に記載しており、本件発明が装置に関する発明である点からみて取付方法は本件発明との対比の際に考慮すれば足り、かかる詳細な記載までも必要とは認められない。

また、イ号物件の図面について、原告主張の別紙(一)と被告ら主張の別紙(三)の各図面との間には、スプリングワッシャ(別紙(三)図面206)、ワッシャ(同205)を除き、実質上の違いはなく、右両部材はイ号物件の特定として省略してもさしつかえない程度のものであるから、別紙(一)の図面をもつて相当と認める。

右で認定した別紙(一)記載のイ号物件の図面の詳細な説明によれば、イ号物件の構成は請求原因4(一)記載のとおり分説するのが相当である。

三被告らは本件発明の出願当時の技術水準につき公知資料をあげて主張している(三被告らの主張1参照)が、本件発明は特許庁において新規性及び進歩性ありとして登録されており、右公知資料の中に新規性及び進歩性に疑問を生じさせるものはなく、また技術的範囲の解釈資料としてここで特にとりあげる必要のあるものもみあたらない。

四そこでイ号物件の構成と本件発明の構成要件を対比する。

1  構成(イ)′、(ホ)′がそれぞれ構成要件(イ)、(ホ)を充足していることは明らかである。

2  構成(ロ)′(A)と構成要件(ロ)(A)を対比すると、前者が「電蝕防止用ガスケット材」を備えているのに対し、後者が「弾性気密材」を備えている点で表現上相違するほかは、前者は後者を充足している。

3  構成(ロ)′(B)、(ハ)′、(ニ)′(A)と構成要件(ロ)(B)、(ハ)、(ニ)(A)を対比すると、前者は「鋼製摺動金具」、「鋼製ピース金具」であるのに対し、後者は「鋼製補強金具」「鋼製取付用金具」である点で表現上相違するほかは、前者は後者を充足している。

4  構成(ニ)′(B)と構成要件(ニ)(B)を対比すると、前者は「連結金具によつて舌片の電蝕防止用ガスケット材を室の内外方向への移動を可能とし、連結金具に螺合している菊ナットにより新窓枠の室内方向への移動を調整可能としている。」のに対し、後者には菊ナットに相当する部品はなく、「弾性気密材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で前記連結手段で新窓枠を取付用金具の方へ引張」るものであり、両者は新窓枠の室内方向への引張り手段において、表現上相違している。

五1  そこでまず、右相違のうち構成(ロ)′(A)、(ニ)′(B)の「電蝕防止用ガスケット材」と構成要件(ロ)(A)、(ニ)(B)の「弾性気密材」について検討するに、右弾性気密材とはその文言から弾性を有し、気密性を持たせるものであると認められ、本件公報中の「弾性気密材(パッキン材という場合もある)24」、「舌片に気密材を付帯しているものであるから改装後の外観が美麗かつ精度よくなつて、上記ズレも気密材の弾性力にて補正できる。」からも裏付けられる。

そして、イ号物件のガスケット材は弾性を有しており、また、ガスケットとは「密封装置のうちで、静止の個所の漏れ止めに使われるものをいう。」(工業教育研究会編、図解機械用語辞典第二版一〇六頁)と定義されており、イ号物件の別紙(四)の窓枠寸法一覧表によれば、舌片と旧窓枠との幅は二ないし二・五ミリメートルであり(旧窓枠が八八ミリメートルのものは除く)、ガスケット材の頭部分が四・五ミリメートルであるから、ガスケット材は旧窓枠に二ないし二・五ミリメートル圧縮されることが予定され、イ号物件の図面にもほとんどガスケット材が旧窓枠に密着した図面が記載されており、更に被告会社両名のカタログ九頁には、後に削除されたものの、「①調整しやすい金具の可動アンカー」の項に「……ボルトでアルミサッシを引きつけますので水密性も他社のものより効果がアップします。」と記載されており、以上を総合するとガスケット材が電蝕防止用とはいえ気密性をも有することが認められ、したがつて、「電蝕防止用ガスケット材」は「弾性気密材」に該当するものと認めるのが相当である。

なお、イ号物件には屋外側に右ガスケット材のほかコーキング材もあわせて用いられており(別紙(一)図面第2図)、右コーキング材も気密性、水密性を有するものの、右ガスケット材が旧窓枠に圧縮され気密性を有する以上、コーキング材の使用は前記結論を左右するものではない。

2  次に、構成(ロ)′(B)、(ハ)′の「鋼製摺動金具」、「鋼製ピース金具」と構成要件(ロ)(B)、(ハ)の「鋼製補強金具」、「鋼製取付用金具」との相違について検討する。

(一)  鋼製補強金具及び鋼製取付用金具についての本件公報中の記載は次のとおりである。

(1) 特許請求の範囲には、「該新窓枠の背面に鋼製補強金具の複数個を該枠の長手方向所定間隔に装置し、一方、旧窓枠には鋼製取付用金具を添着固着せしめ、この取付用金具と前記補強金具とをネジ締結する連結手段を設け、前記弾性気密材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で前記連結手段で新窓枠を取付用金具の方へ引張」ることが記載され、発明の詳細な説明中にも同趣旨の記載がある。

(2) 「双方の金具の協働でこれらが強度メンバーとなつて、取付けが強固になるし、改装後の新窓枠の枠に風圧による曲げモーメントが作用しても必要かつ充分に耐強性を確保できる他、ピース材であるが故に、作業性も良好となるものであること。」

(3) 「補強金具と取付用金具がいずれも鋼製であることから、ねじ締結力が必要かつ充分に確保できるものであること。」。

(4) 上枠の実施例である第2図の説明として次のように記載されている。

「この新上枠5の背面には、第5図に示すように、L字状断面でかつ一部に二条のスリットを切込みこの部分を起した立上り部23aを有する短片材である鋼製の補強用金具23」。

「この補強用金具23若しくは舌片22と対向する室内側には短片材である鋼製の取付用金具25が前述した取付台3と同様に溶着または基礎ボルト26で旧上枠1の露出部分に固着される。要するに、鋼製取付用金具25は旧窓枠1の室内側において添着固着されているのである。その取付用金具25は溝型形状の一側壁25aをその対向壁25bより長めに形成し、その一側壁25aの先端を立上らせさらにリップ25cを付した金具を横倒し状にした断面型であつて、前記金具23と対設する個数だけ配設されていると共にそのウエブ相当位置25dにはボルト挿通孔31が開設され、この孔31側が室外方向に位置する」。

「新上枠5はその舌片22のパッキン材24が旧上枠1の室外側端面に接した状態に装置され、この状態で、補強用金具23の立上り部23aと取付用金具25のウエブ相当位置25dの間において、そのウエブ相当位置25d側より挿通した連結手段一例として引ボルト27をもつて新上枠5の補強用金具23と取付用金具25とを締結せしめ」。

(二)  そして、イ号物件の鋼製摺動金具、鋼製ピース金具は本件公報図面記載の鋼製補強金具、鋼製取付用金具の形状と相当異なつているものの、図面は単に実施例にすぎず、鋼製摺動金具は新窓枠の背面に該枠の長手方向所定間隔に複数個装置され(構成(ロ)(B))、強度で鋼製の摺動金具より劣るアルミニウム製の新窓枠を補強し、また、鋼製摺動金具はピース金具とねじ締結による連結手段で連結されている(構成(ニ)′(A))。したがつて、アルミニウム製の新窓枠に取付けられる鋼製摺動金具と旧窓枠に取付けられる鋼製ピース金具とのねじ締結により双方の金具の協働により取付けが強固となり、改装後の新窓枠の枠に風圧による曲げモーメントが作用しても、必要かつ充分に耐強性を確保できるほか、ピース材であるため作業性も良好となるものであり、また、摺動金具のピース金具はいずれも鋼製であり、ねじ締結力が必要かつ充分に確保できるものであることが首肯できる。

更にイ号物件は後述のとおり、ガスケット材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で連結手段で新窓枠をピース金具の方へ引張るものであることが認められる。

したがつて、鋼製摺動金具、鋼製ピース金具はそれぞれ「鋼製補強金具」、「鋼製取付用金具」に該当するということができる。

六  構成(ニ)′(B)と構成要件(ニ)(B)の相違、すなわち引張り手段につき検討する。

1  前記のとおり、イ号物件の窓枠寸法の一覧表(別紙(四))によれば、旧窓枠八八ミリメートルのものを除き、舌片と旧窓枠との幅は二ないし二・五ミリメートルであり、電蝕防止用ガスケット材の頭部分が四・五ミリメートルであるから、二ないし二・五ミリメートル圧縮されることが予定されており、イ号物件の図面にはほとんどガスケット材が旧窓枠に密着した図面が記載されており、被告会社両名のカタログにも「ボルトでアルミサッシを引きつけますので……」と記載されている。

そして、ガスケット材が旧窓枠等に圧縮されるためには、新窓枠を屋内側へ引張ることが必要であり、したがつて、イ号物件においてもガスケット材を旧窓枠又は旧窓枠側に取付けられた部材の一端面に接した状態で連結手段で新窓枠をピース金具の方へ引張るものであるということができ、構成(ニ)′(B)は構成要件(ニ)(B)を充足する。

2  <証拠>も前記結論を左右するに足りない。

被告らは、ガスケット材を圧縮しえる限度は一ミリメートルであり、二ないし二・五ミリメートルではまだ圧縮しえる余裕があり、本件発明ではこの程度の圧縮で放置すると一ないし一・五ミリメートルの空間があるのと同じであり、新窓枠が固定されず、これを阻止するために新窓枠を旧窓枠に引張ることが必要であると主張する。

しかし、ガスケット材は弾性を有し圧縮しても復元力を有するのであるから、右一ないし一・五ミリメートルの余裕があつたとしても、これにより新窓枠が固定されないとするのは極端な見方にすぎ、また、本件発明の特許請求の範囲にも引張りの程度に限定がないことを考えると前記主張は採用できない。

更に被告らは、イ号物件は菊ナットにより引張り力を制限されるから、摺動金具の被係止部が新上枠の係止部を押圧することがないと主張する。そして右係合部分に間隙のあることが認められるものの(別紙(一)第5図156155と167との間隙、別紙(三)第2図152155と167との間隙)、イ号物件の摺動金具の係合部(別紙(一)152152′、別紙(三)152)は新窓枠の舌片の溝部(別紙(一)168168′、別紙(三)の122と167の間)とも係合しており、引張り力は右係合部分を通して新窓枠に伝達されることが可能であり、前記間隙があり摺動金具の被係止部が新窓枠の係止部を押圧しないことはイ号物件が新窓枠を鋼製ピース金具の方へ引張るものであることを否定するものではない。

3  被告らはイ号物件の取付方法は次のとおりであり、イ号物件は「吊下げ方式」をとり、また、旧窓枠の屋内側面を取付基準面とするものであつて、新窓枠をピース金具の方へ引張ることはなく本件発明と相違する旨主張する。

(一)  旧上枠、旧堅(ママ)枠の適当な位置にピース金具を取付け、他方新上枠に必要個数摺動金具を取付ける。

(二)  新窓枠を旧窓枠に嵌め込み、ねじ棒をピース金具の切り込みに差し込み、菊ナット及びナットを仮螺合する。

(三)  L状の室内側カバー材の他端内面に取付けた室内側電蝕防止用ガスケット材が旧窓枠の室内側面に当たるように新窓枠の屋内外の出を調整し、菊ナットを回転操作してピース金具に当接させた後ナットを回転して圧接する。

しかし、<証拠>により認められる、新窓枠に取付けられたイ号物件のうち菊ナットがピース金具に当接していないものや、菊ナットがピース金具に接してはいるが歪変形しているものがあること、被告ら主張の取付方法だと、新窓枠の位置調整をし菊ナットを当接する間新窓枠の窓外面のガスケット材を旧窓枠に圧縮し続けておくことが必要であり、またピース金具と同じ幅の菊ナットを室内側から指を入れて当接させなければならず作業が繁雑であり、それに対し新窓枠をピース金具の方へ引張る方が作業として容易であることを考慮すると、イ号物件が被告ら主張の方法で取付けられているとは必ずしも認め難い。

また吊下げ方式について、たとえば前記<証拠>の図面では、新窓枠の下枠は旧窓枠の下枠に固定されていない図が記載されているが、右は図面上のものでありボルト等が省略されている可能性を否定できず、他にイ号物件が右吊り下げ式であることを確定するに足りる証拠はない。

更に、取付基準面にしても、旧窓枠八八ミリメートルのように新窓枠の舌片のガスケット材が旧窓枠に接しない場合はともかく、そのほかの場合は舌片のガスケット材は旧窓枠に圧縮されていること、イ号物件の室内側の舌片と旧窓枠との幅(別紙(四)のL3)は二ないし二・五ミリメートルと予定されているが(別紙(四))、ガスケット材の頭部は四・五ミリメートルあり、二ないし二・五ミリメートル新窓枠が屋内側へずれても屋内側のガスケット材は旧窓枠に接することになり、屋外面を基準としてもそのずれを調整することが可能であることを考慮すると、イ号物件は旧窓枠の屋内面のみを基準面としているとは必ずしもいえない。(ちなみに基準面については、本件公報の記載は、「本発明では建造物基台ではなく旧窓枠を基準面として新窓枠を取付けると共に」、「また建造物基台を基準面とせず旧窓枠を基準面とするものであるから、新窓枠の窓内外における取付け精度も良好となる。」というものであつて、旧窓枠の外側とも内側とも限定していない。)

したがつて、被告らの前記主張はいずれも採用できない。

4  被告明拓アルコン株式会社は特許登録第一一三一七二八号(窓枠取付方法、昭和五〇年六月二八日出願、成立に争いのない乙第四、五号証)及び実用新案登録第一四七四八九三号(サッシ窓枠体、昭和五一年五月七日出願、<証拠>)を有しているものの、右各権利は本件特許権より後願であり、したがつて右各権利をもつて本件特許権の差止請求権を妨げるものとはならない。

また被告らは右各権利の出願経過から右各権利は本件発明の公開公報とは異なるものとして登録されたものであり、イ号物件は本件発明の技術的範囲に属しないと主張するが、前記のとおりイ号物件が右特許権の取付方法、すなわち被告ら主張の取付方法を実施しているとは必ずしも認め難く、また、右実用新案権にしても、実用新案登録請求の範囲は「摺動片よりねじ棒を突出して第一アンカー可動係止体が形成され」「第二アンカー可動係止体の一端がサッシ窓枠主体の側面に取付けられている」のに対し、イ号物件は連結金具と摺動金具の垂直部(摺動片に相当する)とは別体となつており、また、右摺動金具とスライド片(両者を含めて第二アンカー可動係止体に相当する)が一体となつており、イ号物件は必ずしも右実用新案権の実施品と認めることができず、したがつて被告らの右主張は採用できない。

七そして、イ号物件は本件発明の構成要件を充足するから、本件発明と同一の作用効果を奏するということができる。

したがつて、イ号物件は本件発明の技術的範囲に属するということができる。

なお、イ号物件は左右、屋内外の各方向に位置調整することが可能であり、また菊ナットによりピース金具を右菊ナットとナットとで挾持することが可能であるが、かかる作用効果を有することは右結論を左右するものではない。

八1  被告会社両名が別紙(二)工事一覧表記載の工事(本件工事)をなしたことは当事者間に争いがない。

<証拠>によれば、被告会社両名が本件工事の右各甲号証に対応する工事にイ号物件を使用したことが認められる。

しかし、本件工事のうち<証拠>に対応する工事分については、右各甲号証の図面記載の既説の旧窓枠に換装されるべき新窓枠を取付ける装置はイ号物件と形状を異にするばかりか、原告は昭和五八年一〇月一二日付第三準備書面で右各図面につきイ号物件に対応する名称を附しているものの、イ号物件と異なり摺動金具はピース金具に接していたり、また、イ号物件にはない部材も附されているようにみうけられ、結局別紙(一)の図面及び説明に特定されたイ号物件どおりの構成の装置であることが確定できないので、かかる点につき原告の方から積極的に侵害である旨の主張立証のない本件においては、右各甲号証に対応する工事に用いられた装置がイ号物件と同様に侵害品と認めることは困難である。

2 <証拠>によれば、被告松井は本件工事がなされた当時被告会社両名の代表取締役であり、イ号物件につき会社内部で本件特許権に抵触しないよう相談がなされたことが認められ、右事実にイ号物件が前記のとおり本件特許権を侵害するものであることを総合すると、被告松井は少なくとも本件工事をなすことが本件特許権を侵害することを重大な過失によつて知らなかつたものと認めるのが相当であり、被告らは不真正連帯の関係で右不法行為によつて原告が蒙つた損害の賠償をすべき義務がある。

3 原告は訴外三井軽金属加工株式会社に対し、本件特許権を含め六六個の工業所有権につき実施料を工事代金の一パーセントとして許諾しており、本件特許権の通常受けるべき金銭の額は工事代金の一パーセントをもつて相当と認める。

そして本件工事契約金のうち弾性気密材が旧窓枠に接しているものに関する部分、すなわち侵害に係る部分の合計(ただし、<証拠>の分は除く)は九八五九万一七〇〇円であるところ、被告会社両名は新窓枠の上枠、堅(ママ)枠、下枠を取り付ける際、前二者にのみイ号物件を用いており、本件発明の利用率は少なくとも五〇パーセントは下らない。

よつて、実施料合計額は98.591.700×0.5×0.01の計算式により四九万二九五八円(少数点以下切捨)となる。

九よつて原告の本訴請求は、被告両名に対しイ号物件の製造販売の差止及びイ号物件の廃棄を求め、被告らに対し原告に対して各自金四九万二九五八円及びこれに対する不法行為の日の後である昭和五六年八月三〇日から支払済に至るまで年五分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は失当であるから棄却す<る。>

(潮 久郎 紙浦健二 徳永幸蔵)

別紙(一)

イ号図面説明書

一、図面の説明

第1図は改装された窓を室内側から見た正面図

第2図は第1図のⅡ―Ⅱ線に沿う拡大縦断面図

第3図は第1図のⅢ―Ⅲ線に沿う拡大縦断面図

第4図は取付装置の分解状態の斜視図

第5図は取付装置の組付状態の断面図

二、図面の詳細な説明

既設の旧窓枠(但し、枠見込寸法が八八mmのものを除く)は、旧上枠(101)、旧下枠(102)、旧竪枠(103)を有する。これに対し新窓枠は、アルミニウム製とされており、新上枠(105)、新下枠(106)、新竪枠(107)を有する。既設の旧窓枠は建造物の基台より除去されることなく残存されている。新窓枠は、新上枠(105)、新下枠(106)、新竪枠(107)を予め四角形状に枠組みして作成され、この新窓枠が旧窓枠に嵌め入れられて取付けられる。

新窓枠の新上枠(105)は、第2図に示される装置によつて旧窓枠の旧上枠(101)に取付けられている。即ち、新上枠(105)は背面外周に舌片(122)を設けており、この舌片(122)には旧窓枠の上枠(101)の一端面に対向する位置に電蝕防止用ガスケット材(124)を備えている。新上枠(105)の背面には鋼製摺動金具(123)の複数個が枠長手方向所定間隔に装置される。一方、旧上枠(101)には鋼製ピース金具(125)が取付けられる。この鋼製ピース金具(125)と鋼製摺動金具(123)とは連結金具(127)によってネジ締結されており、この連結金具(127)によって前記舌片(122)の電蝕防止用ガスケット材(124)の室の内外方向への移動を可能とし、この連結金具(127)に螺合している菊ナット(163)により新窓枠の室内方向への移動を調整可能としており、これにより新上枠(105)を旧上枠(101)に取付けている。

また新窓枠の新竪枠(107)は、第3図に示される装置によって旧窓枠の旧竪枠(103)に取付けられている。即ち新竪枠(107)は背面外周に舌片(122′)を設けており、この舌片(122′)には旧竪枠(103)側に取付けられた部材(100)の一端面に対向する位置に電蝕防止用ガスケット材(124′)を備えている。新竪枠(107)の背面には鋼製摺動金具(123′)の複数個が枠長手方向所定間隔に装置される。一方、旧竪枠(103)には鋼製ピース金具(125′)が取付けられる。この鋼製ピース金具(125′)と鋼製摺動金具(123′)とは連結金具(127′)によってネジ締結されており、この連結金具(127′)によって前記舌片(122′)の電蝕防止用ガスケット材(124′)を室の内外方向への移動を可能とし、この連結金具(127′)に螺合している菊ナット(163)により新窓枠の室内方向への移動を調整可能としており、これにより新竪枠(107)を旧竪枠(103)に取付けている。

第2図に示した新上枠(105)を旧上枠(101)に取付ける装置は、一組の鋼製摺動金具(123)と、鋼製ピース金具(125)と、連結金具(127)とから成る。また第3図に示した新竪枠(107)を旧竪枠(103)に取付ける装置は、一組の鋼製摺動金具(123′)と、鋼製ピース金具(125′)と、連結金具(127′)とから成る。これらの取付装置は基本的に同一構成に基づくものであり、前者と後者を同時に第4図及び第5図に示し、前者の構成に対し後者の構成には同一符号にダッシュを付して説明する。鋼製摺動金具(123)(123′)は、平板部(150)(150′)の先端部を屈折起立して垂直部(151)(151′)を有し、該垂直部(151)(151′)の上下両側縁を断面L形として前方に屈曲する係合部(152)(152′)を備えており、該垂直部(151)(151′)の中央部に上下方向に長い長孔(153)(153′)を開設している。前記平板部(150)(150′)は、長手方向に開口(154)(154′)を有すると共に、該平板部(150)(150′)の尾端縁(155)(155′)の両端部を断面L形として下方に屈曲する係合爪(156)(156′)を備えている。前記開口(154)(154′)にはスライド片(157)(157′)が摺動自在に挿着され、該スライド片(157)(157′)は上方に開口する溝(158)(158′)を形成している。連結金具(127)(127′)は、頭付きボルトから成り、前記鋼製摺動金具の垂直部(151)(151′)の長孔(153)(153′)に前方より挿入され、ボルト頭部(159)(159′)を垂直部(151)(151′)の前面に接当すると共に、断面四角形のボルト首部(160)(160′)を長孔(153)(153′)に摺動自在且つ回動不能に適合しており、ボルトネジ部(161)(161′)をスライド片(157)(157′)の溝(158)(158′)に挿通し、該ネジ部(161)(161′)の尾端よりナット(162)(162′)を螺合している。尚、垂直部(151)(151′)とスライド片(157)(157′)との間に位置してボルトネジ部(161)(161′)には菊ナット(163)(163′)が螺合されている。鋼製ピース金具(125)(125′)は、角筒形に形成され、頂壁に設けられたネジ孔(164)(164′)にネジ杆(165)(165′)を螺着することによって旧窓枠に固着される。この鋼製ピース金具(125)(125′)は、その両側壁に側方に開口する吊下溝(166)(166′)を形成しており、該吊下溝(166)(166′)に前記連結金具(127)(127′)のボルトネジ部(161)(161′)を挿通自在としている。

このような取付装置は第5図に示す状態に組付けられるものであり、新旧窓枠の上枠に対し竪枠の構成には同一符号にダッシュを付して同時に説明する。鋼製摺動金具(123)(123′)は、新上(竪)枠(105)(107)の係合部(167)(167′)を尾端縁(155)(155′)及び係合爪(156)(156′)により挟持すると共に、該金具(123)(123′)の係合部(152)(152′)を新枠舌片(122)(122′)の溝部(168)(168′)に挿入することにより、該鋼製摺動金具(123)(123′)が新上(竪)枠(105)(107)の背面に挿着される。この鋼製摺動金具(123)(123′)は、新枠背面に挿着される際に、スライド片(157)(157′)及び連結金具(127)(127′)を具備している。鋼製ピース金具(125)(125′)は、ネジ杆(165)(165′)により旧上(竪)枠(101)(103)に取付けられている。この状態より、新上(竪)枠(105)(107)を旧上(竪)枠(101)(103)に嵌め入れ、鋼製摺動金具(123)(123′)を新上(竪)枠(105)(107)の長手方向に摺動させることにより連結金具(127)(127′)のネジ部(161)(161′)を鋼製ピース金具(125)(125′)の吊下溝(166)(166′)に挿入した後、スライド片(157)(157′)を鋼製ピース金具(125)(125′)の側壁に添えると共にナット(162)(162′)をネジ部(161)(161′)に締着することによつて、舌片(122)(122′)の電蝕防止用ガスケット材(124)(124′)を室の内外方向への移動を可能とし、しかも連結金具(127)(127′)に螺合している菊ナット(163)(163′)により新窓枠の室内方向への移動を調整可能とし、これにより、新上(竪)枠(105)(107)を旧上(竪)枠(101)(103)に取付ける作業が行われる。

別紙(二)工事一覧表<省略>

別紙(三)

イ号図面説明書

一、図面の説明

第1図1は改装された窓を屋内から、

第1図2は屋外からみた各正面図。

第2図は第1図1のⅡ―Ⅱ線に沿う拡大縦断面図。

第3図は第1図1のⅢ―Ⅲ線に沿う拡大横断面図。

第4図は位置調整兼吊下げ連結装置の斜視図。

第5図は右装置の分解状態の斜視図。

第6図は右装置の内、摺動金具へ、スライド金具を取付ける方法を示す一部省略斜視図。

第7図は右装置による新窓枠の仮取付状態を示す一部切欠斜視図。

第8図は第1図X部分の拡大斜視図。

二、図面の詳細なる説明

1 建造物の基台から除去することなく残存されている旧窓枠(旧上枠(101)、旧下枠(102)、旧竪枠(103))に、予め四角形状に枠組して組上げた新窓枠(新上枠(105)、新下枠(106)、新竪枠(107))が嵌め入れられて取付けられる。

なお、新上枠(105)、新竪枠(107)は、背面外周に舌片(122)と、そのそれぞれに係止部(167)が設けてあり、また舌片(122)の先端内側には電蝕防止用ガスケット材(124)が備えられている。

2 旧窓枠への新窓枠の取付は、上部から吊下げる形で行われる。その手段となるのは、位置調整兼吊下げ連結装置(第4図参照)である。

右装置は、第5図に示すように、ピース金具(125)、ねじ具(165)、摺動金具(123)、スライド金具(157)、ねじ棒(200)、菊ナット(163)、ワッシャ(205)、スプリングワッシャ(206)、ナット(162)、により構成されている。

ピース金具(125)は、底面片(215)にねじ孔(164)が穿孔してあり、両側片(216)に一端より長溝状の切り込み(166)が設けられている。

ねじ具(165)は、旧上枠(101)と旧竪枠(103)の適当と思われる位置に突設され、ピース金具のねじ孔(164)に螺合するようになつている。

摺動金具(123)はほぼL状をしており、垂直部(151)の先端と基部両側及び平板部(150)の尾端縁(155)両側はこれをL状に屈曲して被係止部(152)が設けてある。垂直部(151)の屈曲方向に細長となつた長孔(153)が設けてあり、平板部(150)にはその屈折方向に細長となつたスライド孔(154)が設けてあると共に、その端部にはそれより巾広のスライド金具挿入溝(201)が連通している。

スライド金具(157)はその両側に前方に向けてピース金具(125)の一方の側面の両側を覆う脱落防止片(202)が設けてあり、中央にねじ棒(200)を貫通させる一端が開放された長溝(158)が設けてある。またその先端にはスライド孔(154)の巾よりも巾狭の細首片(203)が突出しており、その先端に後方に向けてスライド孔(154)よりも巾広で且つスライド金具挿入溝(201)よりも巾狭の係止片部(204)が突設してある。

ねじ棒(200)は先端に角状部(160)が設けてあり、その先に頭部(159)が設けてある。角状部(160)は、長孔(153)の巾にほぼ等しい巾で長孔(153)内をスライドできるが、長孔(153)に対して回転できないようになつており、また頭部(159)は長孔(153)より大きくてねじ棒(200)が長孔(153)より抜けないようになつている。

菊ナット(163)はねじ棒(200)に螺合し、ワッシャ(205)、スプリングワッシャ(206)はこれに嵌め入れ、ナット(162)はこれに螺合する。

3 旧窓枠の新窓枠の取付方法は左のとおりである。

まず、旧上枠(101)、旧竪枠(103)の適当と思われる位置に適宜な間隔で直接或いは金具(100)を介してねじ具(165)を取付け、これにピース金具(125)のねじ孔(164)を螺合してピース金具を取付ける。

一方、摺動金具(123)の垂直部(151)の先端と基部及び平板部(150)の尾端縁(155)にそれぞれ設けた被係止部(152)を、新上枠(105)の係止部(167)にそれぞれ係合して、必要個数の摺動金具(123)を新上枠(105)に取付ける。摺動金具(123)は新上枠(105)上を自在に摺動するよう構成されている。この場合新上枠(105)の屋内側に設けた係止部(167)部分においては、平板部(150)の尾端縁(155)とL状に屈曲した被係止部(152)とで係止部(167)を上下から挟んで係止しているのみで、係止部(167)の屋外側端部と被係止部(152)の屈曲基部とが接触しておらず、この部分にすき間(第2図参照)が生じている。新竪枠(107)にも同様に取付け、これも摺動は自在である。

そして、ねじ棒(200)の頭部(159)寄りに菊ナット(163)を仮螺合しておき、新窓枠を旧窓枠に嵌め込んで、ねじ棒(200)をピース金具(125)の切り込み(166)に差し込む。その後、スライド金具(157)を寝かした状態(第6図参照)で係止片部(204)をスライド金具挿入溝(201)に挿入し、第6図矢印方向に九〇度回転して起こしながら落し込むことにより細首片(203)をスライド孔(154)にスライドさせ、ねじ棒(200)にワッシャ(205)、スプリングワッシャ(206)を嵌め込み、更にナットを仮螺合しておく(菊ナット(163)は、ピース金具(125)と摺動金具(123)の垂直部(151)との間にあることになる)。

この操作をピース金具の数にあわせて同様に行うわけである。

4 この段階においては、菊ナット(163)はピース金具(125)の前面に当接しておらず、またナット(162)も仮螺合状態に過ぎないから、新窓枠は旧窓枠に対し、第7図イに示す矢印方向にも、同図ロに示す方向にも、また摺動金具(123)の摺動自在性から同図ハに示す矢印方向にも移動が可能である。このことは竪枠においても同様である。従つて、新窓枠は旧窓枠に対して、仮取付した状態で上下、左右、屋内外方向に移動させつつ位置調整できるものである。

位置調整は新上枠(105)、新竪枠(107)の舌片(122)先端が旧上枠(101)、旧竪枠(103)の外面に対して所定の被覆状態となるように、上下、左右に行う。また新窓枠の室内側面に設けた一対のL状係止片(207)にL状の室内側カバー材(208)の一端の二叉片(209)に設けた係止爪(210)を係止したとき、L状の室内側カバー材(208)の他端内面に取付けた室内側電蝕防止用ガスケット材(211)が旧窓枠の室内側面に当たるように新窓枠の屋内外方向の出を調整する。

5 前記調整後、新窓枠と旧窓枠との間の間隙(212)に室内側より指を入れて菊ナット(163)を回転操作してこれをピース金具の屋外側面に当接させた後、ナット(162)を回転してスライド金具(157)をピース金具(125)の室内側面に圧接する。

この場合、ナット(162)を強く締付けても、菊ナット(163)がピース金具の屋内側面に当つているため、新窓枠が室内側に引張られることはない。

6 この状態においても、舌片(122)の先端内側に取付けた電蝕防止用ガスケット材(124)(鉄製の旧窓枠とアルミニウム製の新窓枠の舌片が直接当接して電蝕をおこすことを防止するためのもので、これが旧窓枠に当つていても当つていなくても差支えない)は旧窓枠屋外側面に当接するとは限らず、当接したとしても、ナット(162)の締付けに応じて、これが旧窓枠の屋外側面に強く圧接することはない。

7 L状の室内側カバー材(208)は新窓枠を旧窓枠に位置決めして本固定した後、係止爪(210)を新窓枠のL状係止片(207)に着脱自在に係止して取付ける。ここで新窓枠を旧窓枠に取付ける際、室内側カバー材(208)の室内側電蝕防止用ガスケット材(211)が旧窓枠の室内側面に当るように事前に取付位置の調整をしているので、係止爪(210)をL状係止片(207)に係止するのみで室内側電蝕防止用ガスケット材(211)が旧窓枠の室内側面に当ることとなる。

ところで電蝕防止用ガスケット材(124)は新上枠(105)、新竪枠(107)の舌片(122)の全長にわたつて取付けられるが、新上枠(105)、左右の新竪枠(107)、新下枠(106)を枠組みして新窓枠を作成した場合、第1図の破線で示すように電蝕防止用ガスケット材(124)は位置し、この結果第1図のXで示す部分は第8図に示すように電蝕防止用ガスケット材(124)が存在しない部分ができることとなる。従つて、電蝕防止用ガスケット材(124)が旧窓枠に当つている場合でも第1図のXで示す部分においては新窓枠と旧窓枠との間にすき間が生じることとなり、電蝕防止用ガスケット材(124)を旧窓枠に当てても気密は保持されないものである。このように新窓枠と旧窓枠との間の気密・水密保持は電蝕防止用ガスケット材(124)ではおこなつておらず、電蝕防止用ガスケット材(124)が旧窓枠に当つているか、当つていないかにかかわらず、旧窓枠の屋外側面と新窓枠の外周端部との間に填装されるコーキング材(214)によつて気密・水密が保たれているものである。

窓枠寸法一覧表

単位ミリメートル

旧窓枠

輪 ℓ

新窓枠(L1+L2)

L7(L4+L5)

L8(L3+L5)

L7+L8

本体L1

カバー材L2

L4

L5

L3

L6

標準

86

70

30

100

2

5

7

2

5

7

14

規格

90

70

35

105

2.5

5

7.5

2.5

5

7.5

15

オーダー

100

70

44

114

2

5

7

2

5

7

14

105

70

50

120

2.5

5

7.5

2.5

5

7.5

15

120

70

64

134

2

5

7

2

5

7

14

88

70

35

105

5

5

10

2

5

7

17

70

35

105

4.5

5

9.5

2.5

5

7.5

17

注 新窓枠(L1+L2)=旧窓枠(ℓ)+L7+L8

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!